ブラック研究室に所属しながら10社内定 「推薦」に頼らない理系院生の就活戦略

 

「せっかく院に行ったからには、研究が活きる企業に就職しないと…」理系院生の誰しもが思うこと。でも、ちょっと待ってください。その研究、ほんとにやりたくてやってますか? 今回は、学部3年時と修士1年時の2回就活を経験し、研究とは異なる分野の通信S社に内定した地方国公立大学の理系院生Tさん(農学系、男性)に「理系院生の就活戦略」を聞きました。

戦略1:「研究が忙しい」という言い訳は捨てる

 

ー超多忙な研究室に所属しながらも、志望企業3社を含む10社(うち大手1社)から見事に内定を獲得したそうですね。今回は理系院生のための就活戦術を教えてください。

鈴木まず1つ目は「研究が忙しいから」と言い訳しないことです。私が所属している研究室では9時半から17時までがコアタイムでしたが、週2回の進捗報告、さらに後輩の実験指導など研究以外の業務も山積みで、帰宅時間は22時以降、時には研究室に泊まったり、土日に研究室に向かうこともありました。

 

ー厳しい研究室ですね。そのような環境下でどのように就活を進めていましたか?

鈴木就活を本格的に始めたのは修士1年の3月でした。3月の就活解禁と同時に100社にエントリーし、3月中に50社のESを作成し提出、選考を通過した30数社の選考を4月に受け、5月に第1志望の会社に内定をいただき、就活を終了しました。就活期間は、研究と就活ですべきことを細分化し、一つ一つの作業に取り組む時間を決め、集中的に取り組むようにしました。例えば、1時間でES5本書き切る、30分で論文2ページを執筆する。

 

鈴木そして、時間あたりの作業量をいかに増やすかを常に考えていました。1時間5本作成していたESを10本に増やすにはどうすればよいか?  ESを書き溜めるだけではなく、企業群ごとで傾向をまとめ使えるフレーズを自動で抽出し執筆に活かすなどしていました。理系院生は忙しくて就活できないという声をよく聞くのですが、私は工夫次第で時間は捻出できると思っています。

 

戦略2:一人で進めない

 

ー研究を言い訳にしない姿勢、素敵です。3ヶ月間という短い期間の中で、10社の内定を勝ち取るために、他に意識していたことはありますか?

鈴木「一人でやらない」ことです。私の場合、学部と修士あわせて2回就活をしているんですが、これは1度目の就活の失敗に基づいた反省でもあります。

 

ー1度目と2度目の就活でどんな違いがありましたか?

鈴木学部3年時の就活では、研究以外の選択肢を視野に入れるべく、鉄道、飛行機、飲料メーカーを中心に40社ほどエントリーをしました。しかし、恥ずかしいことに、この時の内定は0でした。振り返ると、1人で就活を進めてしまったのが失敗でした。自分の力を過信し「とりあえず受けてみる」姿勢で臨んでいました。面接練習やES添削をろくにせず、誰にもフィードバックをもらわずに就活していました。

 

鈴木1度目の反省を活かし、2度目の就活では徹底的に他者からフィードバックをもらうようにしました。学部の同期、サークルの先輩、キャリアセンターの職員、両親、そしてキャリア教育支援NPO en-courageのメンター、10人以上の人にESを見てもらいました。1人で就活していると、相手に伝わるかどうか、という観点が抜けてしまいます。最初は恥ずかしいかもしれませんが、多くの人に自分を評価してもらうことで、自分の魅力を最大限伝えるにはどうしたらよいかを念頭に置いて選考に臨めました。

 

戦略3:視野を広げてくれるメンターを持つ

 

ー他者からどう見られているかって大事ですよね。研究で忙しい中、妥協せずに就活を進めれたのはなぜですか?

鈴木:「視野を広げてくれるメンター」の存在が大きかったです。理系院生って、自分が今やってる研究を就職先で活かさなきゃと思い込んでいるケースが少なくないんです。それで勝手に進路を狭めてしまっている。でも、大学院での研究テーマという枠を外せば、可能性はグッと広がります。ただ、自分でその枠を外すのは難しい。そこで私の場合助けになったのが、en-courageのメンター面談制度です。

 

ーどのようにメンター面談制度を活用していましたか?

鈴木:最初は自分が書いたESを添削してもらうために面談を申込みました。そこで言われたのが、「この文章からは鈴木くんの意志を感じられない。本当にしたいことはなんなの?」の一言です。「せっかく研究を頑張ったんだし、活かせる仕事がよいのでは?」と思っていましたが、面談を機に、研究以外の選択肢もあること、そして自分が本当に進みたい道は研究ではないことに気づくことができました。

 

鈴木:研究室の先輩や同期は推薦で就職先を決めることが多く、その時点で選択肢の幅を狭めてしまっています。そもそも「自分のやりたいこと」を考える必要がないことがほとんどです。僕についてくれたメンターも理系院生でしたが、推薦に頼らず研究と就活を両立し、技術職ではなく総合職という進路を選択していました。そのようなメンターが側にいたからこそ、視野を広げる決断をすることができました。納得した就活を体現した学生が、メンターとして伴走してくれることは、en-courageの魅力だと思います。