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◆九州大学大学院で鹿の研究をしている岡本さん。 小さな頃から、興味を持っていた分野の研究をしながらも就職先は全く違う分野を選択しました。 そこに秘められた思いや考えとは、どのようなものでしょうか。
「好きなこと」だからこそ、仕事にするのがしんどい
-岡本さんは大学院で鹿を研究されているということですが、具体的にどのような研究をされているのでしょうか?
岡本さん(以下、岡本):一言で言ったら、生態系保全分野の研究です。特に、屋久島の鹿のDNAの研究をしています。
屋久島には、数え切れないほどの鹿がいて、猟師さんが間引いていかないと半永久的に増えていってしまうんです。
そこで、どのくらい減らせばいいかの検討をつけるために、鹿のフンを採取してそのDNAからおおよその数を把握します。とても目視では数えることができないですからね(笑)
-そんな研究をされている岡本さんですが、就活を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
岡本:就活はかなり早くから始めました。
というのも、もともと学部時代は生き物の行動生態学に興味がありました。しかし、「これって将来仕事に活かせるのかな?」という不安があり、大学院では世の中の役に立ちそうな、生態保全分野の研究を選んだという背景がありました。
だから、大学院入学前からかなり就活を意識していたので、4月くらいには就活のキックオフセミナーに当然のように行っていました。しかも自分は大学院から編入してきたので、友達もいなかったので、1人で黙々と就活をしていましたね(笑)
-かなり意識高い高い就活生だったんですね(笑) その後、どのように変化して行ったんですか?
岡本:初めは生物を扱う会社ばかり見ていました。でも実務的なインターンに行った時に違和感を覚えてしまって。
仕方のないことですが、どうしても仕事にすると「ビジネス」として捉えなくてはいけなくなってしまう。「好きなこと」で何円儲けられるかと利益を追求しなくてはいけないのは、どうしてもしんどくて。
「自分が進む道は本当にこれでいいんだろうか?」と感じるようになりました。
その後は、「自分って結局何に興味があるんだろう」と考えるようになりました。小さい頃から「生き物の行動」に興味があった自分が、興味が持てる仕事ってなんだろうって。
とりあえずいろんな会社の説明会に行って、違和感や興味を確かめた結果、自分って「人」の「行動」や「感情」に影響が与えられるような仕事に興味があるんじゃないかなと思うようになりました。
それからは、マーケティングや人材、教育といったような業界を見るようになりましたね。

今の自分が一番リアル。それから逃げることはできない
–次第に自分の研究から離れた就活をされたようですが、そこへのもったいなさは感じなかったんですか?
岡本:あまり感じませんでしたね(笑)
ここは、自分の性格の問題もあると思いますね。
でもやっぱり一番大きな理由は、自分の感情に目を背けるのが気持ち悪いということだと思います。
感じてしまった感情や違和感は、まぎれも無い事実です。そこに蓋をして、見て見ぬ振りをしてしまったら僕は一生後悔してしまうと思うし、やっぱり僕は「今の自分が一番リアル」なんだと思います。
そこで妥協してしまっていたら、絶対納得感を持つことはできないし、大げさに言えば自分が自分で無くなってしまうような気持ちになってしまいます。
それに、研究内容が活かせなくても、自分が研究に費やした時間は必ずしも無駄ではなくて。研究の過程で身についた力は汎用性が高くて、社会人になった後もいきてくると思います。
例えば、仮説検証とそれに伴った修正。いわゆるPDCAみたいなものが研究では繰り返されますし、その度にそういった思考法は身についているんだと思います。
こんな風に、研究内容と就職先が関係なくても、自分がしてきたことが無駄だったとは全く思わないので、勿体無さみたいなのは感じませんでしたね。
-最後に19卒のみなさんへ一言お願いします!
岡本:惰性をしないで就職活動を終えてほしいなと思っています!
今までしてきた勉強、選択などいろんな過去の経験にとらわれて、就職先を決めようとしてしまう事はあると思います。それでも、過去の経験なんて、所詮過去のことで。
例えば、文理選択だって、高校生の時の小さな頭で決めたものなんじゃないですかね。
そうじゃなくて、自分が今何を思ってるかということに徹底的に向き合ってほしいなと思います。
その方が絶対自分の中の納得度は高いはずだし、そのぶん覚悟を持って生きることができるのでは無いでしょうか。